清泉女学院中学高等学校
社会の中で平和の種を蒔く人に
世界をつなぐ清泉のグローバルプログラム

国際理解教育ファイル 清泉女学院中学高等学校 社会の中で平和の種を蒔く人に世界をつなぐ清泉のグローバルプログラム

様々な価値観や文化を理解し、共感し、共に生きる人こそが、平和の礎を築く。その原点を育むのが、清泉女学院中学高等学校の「Connect the World―グローバルプログラム―」(以下、グローバルプログラム)です。その根幹にある考えや方針、生徒の多様性を活かすための充実したプログラムについて話をうかがいました。

自分とは違う価値を理解し、様々な考えや
背景を持つ人と共に生きる平和の礎を築ける人へ 清泉女学院の
「Connect the World―グローバルプログラム―」

教頭 佐藤美紀子先生 進路・指導研究部 芝﨑美保先生

グローバルプログラム Key Word①基本となる「周囲の人に光と喜びを」の教え

佐藤先生

本校の創立者である聖ラファエラ・マリアの「周囲の人に光と喜びを」という言葉に、本校の教えのすべてが集約されています。グローバルプログラムでも、その基本は変わりません。文化、風習、全ての価値観、いろいろな違いを認め合うこと、周囲の人々に共感していくことが大切です。その先には、多くの人たちと手を取り合い、平和の種を撒く人となるという理想があります。本校では、隣人との共感の中にグローバルがあると考えていますから、海外だけでなく、国内でもいろいろな体験を通じたグローバル教育を行います。

グローバルプログラム Key Word②教科を超えたリベラルアーツが源

佐藤先生

教科を超えたリベラルアーツの世界を私たちは大事にします。例えば沖縄への修学旅行の際は、社会科で沖縄の歴史や現在などについて、理科でヤンバルクイナなどの希少種やサンゴ礁の問題、ヤンバルの森の開発問題など、地球環境の観点から学びます。そういった多教科にまたがる学び方、創立から約70年をかけて築いてきたリベラルアーツを大切にする学問体系が、本校のグローバル教育の源にあります。

グローバルプログラム Key Word③根底にあるのは「自己容認・自己確認」

佐藤先生

グローバルプログラムは、「自己容認・自己確認」から始まります。自分を分析し、肯定できて初めて周囲の人への共感が生まれると考えているのです。グローバル教育を「外の世界を見ましょう」からスタートすると、知識は身に付きますが、自分から行動を起こそうとしても「具体的に何をすればいいのだろう?」という疑問が出て、動けなくなってしまいます。受け身でなく、自分から何かをしようという姿勢を持つためには、「自己確認・自己容認」が欠かせません。ですから、まずは自分の内面を探っていくという過程を大事にしています。

グローバルプログラム Key Word④学びを立体的につなぐ独自のグローバルプログラムを実現

1st Stepコミュニケーション能力を高める語学教育

英語の授業の様子
芝﨑先生

英語教育で伝統的に取り組んでいることが、「現実に即したものを教えよう」ということで、最近はネット上で検索したものを見せながら授業を進めることも増えています。発表の方法もできるだけ実物を使用し、直接伝えることを重視する方針が脈々と続いていて、それが今の「English Day」につながっています。その他に特徴的なのはリーディングプログラムです。1年間に少なくとも洋書を5冊、自分の力で読むことが課されます。
*English Day:中学生が1年間の英語学習の成果を学年全体で共有する1日。スピーチ、レシテーション等の発表やスペリングクイズなど、様々な活動をする。

Pick up!中学1年から少人数制の習熟度別に3分割した英語の授業
AREクラス(Advanced Returnees' English)

帰国生試験B方式、グローバル入試合格者を対象にしたアドバンストクラス。週6時間の英語授業のうち、5時間をネイティブスピーカーが担当。ディスカッションやプレゼンテーションを含むレベルの高い授業を行う。

AEクラス(Advanced English)

一般試験合格者の中で、英検3級以上取得者が対象。週6時間の英語の授業のうち2時間をAREと合同でネイティブスピーカーが担当。

SEクラス(Standard English)

一般試験合格者の基礎から英語を学べるクラス。

佐藤先生

本校では多様性と個性を大事にしています。その意味で、入学したばかりの中学1年生の英語力の差はとても大きいと思うんです。英語が上手な生徒もいれば、ちょっと気後れする生徒も出てきます。それぞれに細かく丁寧に教えていきたいという気持ちから、全時間2クラス3分割の少人数制で、内容も3レベルに分ける方法を4月からスタートさせました。生徒たちは1年間でぐっと伸びますから、そうすれば次のクラスに入ってほしいですね。

芝﨑先生

通常行われる授業で4技能の向上にむけて発表の機会を増やすとともに、学外でもディベートやスピーチコンテストなど自分の意見を言う機会を増やしていきたいと思っています。発表するときの、生徒の生き生きした様子が素晴らしく、真面目な子が多いので恥ずかしがりますが、自己表現が豊かにできる生徒を育てたいです。
生徒たちが中3、高1になると、英語力にプラスして社会的な知識や国語力、文章を組み立てる力もぐっとついてきますから、英語でディスカッションをさせると、他の生徒の意見に刺激されて、どんどん良い意見が出てきます。AREクラスに代表される、もともと高い英語力をもっている生徒たちと、後から英語力を伸ばしてきた生徒たちが一緒に授業を受けることでとても良い相乗効果が生まれます。

Pick up!新しい言語で新たな気づきを得るプログラム
FLIP -フリップ- (Foreign Language Interactive Program:多言語学習プログラム)
FLIPのプログラムのひとつ「オンライン英会話」
FLIP -フリップ- (Foreign Language Interactive Program:多言語学習プログラム)

中国語(e-ラーニングと講師による授業)、スペイン語、オンラインによる英会話を行う。希望者対象。

芝﨑先生

新しい言語を学ぶということは、その言語を通して新たな表現の手段を得ることにもつながります。FLIPは中2以降のプログラムになっているので、さらに中国語を話す自分、スペイン語を話す自分からも、新たな気づきがあると思っています。FLIPで特徴的なのが、学年を超えた学びが可能ということです。中2~高2までが1つのクラスにいるので、下級生にとってはお手本となる上級生の姿が見られ、上級生は下級生の面倒を見る機会を通して自分も成長できます。そのような触れ合いによって、良い人間関係が築ける活動にもなっています。

2nd Step異文化理解と国際交流

Pick up!ベトナムの過去と現在を知るツアー
ベトナムスタディツアー(高1・高2)
ベトナムスタディツアー(高1・高2)

2017度から始めたプログラム。ホーチミンの聖心侍女修道会の修道院を訪問し、姉妹校でボランティア体験も実施。希望者対象。

佐藤先生

ベトナムの「今」を肌で感じ、また戦争の遺跡を見て歴史と国際平和を考えます。ベトナムの修道院では、経済状態ゆえに学校に通いにくい子供たちのためのラブスクールという学校を開いているのですが、そこでボランティア活動も行います。

Pick up!現地での発表、帰国後の報告発表を通して成長
ニュージーランド短期留学
語学研修(中3・高1希望者対象)
ニュージーランド短期留学
語学研修(中3・高1希望者対象)

約3ヶ月にわたって行われ、現地の学校に通ってホームステイを体験。帰国後は学年で英語によるプレゼンテーションを実施。希望者対象(語学研修は10日程度夏休みに実施)。

芝﨑先生

現地校では自分が発表したい内容を現地校に提案した生徒もいます。帰国後には、留学先での経験や得たことを英語で報告発表する機会を設けています。他の人の発表を聞くことも、大切な成長の機会です。
留学や研修に行った生徒を見ていると、異文化理解というよりは適応という言葉が合いますね。研修先の環境に自己をつぶさないで入っていくような姿勢を感じます。うまくコミュニケーションをとるためのツールとしての英語の存在は大きいと思いますし、こうした体験をきっかけに適応力の高い人になっていくのではないかと思います。

3rd Step地球市民として成長する教科を超えたリベラルアーツの学習

Pick up!自然との共生を理解する校外での学び
理科校外学習(中1~高1)
中3理科校外学習(城ヶ島)
高1校外学習(真鶴・箱根)
理科校外学習(中1~高1)

オリジナルテキストやフィールドノートを用いて、中1は校内、中2は箱根、中3は三浦半島、高1は真鶴・箱根にて学ぶ。

佐藤先生

3rd Stepは、プログラムとしてレールを敷いたようなものではなく、私たちの学校の中で培われたものです。本校では伝統的に体験学習が多く、理科の校外学習もその一つです。環境に適応する自然のしくみと生き様を学習することはもちろんですが、人間社会や政治力が生物や地球に及ぼす影響力を考えていくことは「自然との共生感」へと結びついていきます。地球市民として成長していく体験です。

Pick up!生徒主体でAIと倫理を考える会議を開催
AI倫理会議
AI倫理会議
AI倫理会議

高2の倫理で行われた、「Pepper」をゲストに迎えてAIと倫理について考える授業をきっかけにスタートした試み。2017年1月、高2の有志が主体となり、高校生によるAI倫理会議を開催。

佐藤先生

最初は教師が発案した会議ですが、生徒が意欲的で、神奈川県と東京都の学校に呼びかけ、本校で会議を行うことになりました。「AIと共存する近未来の姿とは」というテーマは、とても本校らしいものだと思います。昨年の会議では「教育」「医療」「福祉」「防災と治安」「文化」の5つの分科会に分かれ、AIを活用する倫理憲章を作成し、平和な社会への第一歩を踏み出していました。

グローバルプログラム Key Word⑤学びが全て活動実績になり、生徒の糧になる

そのほかのグローバルプログラム
清泉インターナショナル交流プログラム
校外摸擬国連
そのほかのグローバルプログラム
  • English Camp[中1・中2]
  • 清泉インターナショナル交流プログラム[中3]
  • 摸擬国連[中2~高3]
  • グローバルリーダー育成プログラム[中3~高2]
  • ボストンカレッジ リーダー育成プログラム[高1・高2]

他多数

芝﨑先生

本校のグローバルプログラムは非常に数が多く、多岐にわたっています。これは生徒の様々なニーズを満たすためです。多様なプログラムを数多く用意し、それを生徒が自分で選ぶ、情報を取捨選択してもらいたいと考えているからです。
本校では、ライフテーマを考えたうえで進学先を選ぶ生徒が多くなっています。自分が将来やりたいことについて学べる、研究できる大学のなかで最高の進学先を探す傾向があるので、生徒たちも受験をかなり意識していますね。一方、偏差値ありきではない発想をする生徒も多く、自分の個性をアピールするAO入試などにもチャレンジしています。グローバルプログラムはもちろん、ロングホームルームの活動や、クラブで行った福祉活動、AI倫理会議への参加などを活動実績として自分をアピールできますから、本校での学びは全て生徒自身の活動実績になり、糧になっていると感じます。

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