国学院大学久我山中学校・高等学校
私学図書館ツアーズ
図書館

私学図書館ツアーズ 国学院大学久我山中学校・高等学校 図書館 手を伸ばせばすぐ読める価値ある図書資料、豊富な日本史・日本文学
男子部と女子部の別学で学ぶ国学院大学久我山中学校・高等学校。男子部校舎(本館)と女子部校舎(西2号館)の間にある学習センターは吹き抜けがある現代的で開放的な校舎。自習室、CALL教室、カフェテリア、そして図書館が配置され、男女ともに活用しています。ガラス張りで中の様子が見え、入りやすい図書館は、館内も天井が高いうえ書架が低く開放感いっぱい。歴史書や日本・東洋の古典文学など、他校では見かけない書物も豊富に揃う、国学院久我山らしさにあふれる図書館を取材しました。

図書館(学習センター内)

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学習センターの2階にある図書室。吹き抜けエリア横の階段を上がると、ガラス張りの明るい図書館内が見えてくる。夢中で勉強しているのは高校3年生だ。
書架が低く、天井は高い設計で開放感があり、館内の様子を奥まで見渡せる。入口前には、インフォメーションボードが設置され、図書館内のニュースを掲示。ほかにも本に関する新聞記事が紹介されていたり、リクエストカードと先生のコメントが貼られていたりと、気軽に利用しやすい雰囲気で迎えてくれる。

GALLERY

背の高い書架がないことで広さとゆとりを感じる館内。コンクリートが多用されているため、壁や天井を利用することは難しく装飾は少ないが、そのぶん清潔感があり読書も自習も集中できそうだ。

どんな分野でもOKという「図書委員からのオススメ」。紹介本についた手作りポップは、どれも力作揃いだ。図書委員は当番制で貸出カウンター業務や返却本の整理を行う。年に1回、館内の点検作業もある。

手ごろに読める新書をもっと読んでほしいと新書コーナーを設置し、高校生に向けては「久我山高校 新書の100冊」を配布。中学3年での修学論文でも新書を取っ掛かりにすることが推奨されている。ほかにも時事ネタの関係本や新聞記事の関連本が積極的に紹介されていて目を引いた。

中学1年では「読書の時間」が週に1回あり、「おすすめの1冊」紹介や「読書ノート」を制作。厳選したものが図書館に展示されている。また、自然体験教室や女子部のキャリア教育に関連した書籍コーナーも設置。授業や行事との関連性が高い図書館だ。

国学院大学の影響もあり、昔から日本史や日本文学の図書が非常に多いことが久我山図書館の特長。今も増え続けていて、外部からの見学者もその豊富さには驚くほど。通常の中高図書館にはないものも多く、東洋の古典的な話を日本語訳したシリーズ「東洋文庫」が発行順に全巻揃っていることもめずらしい。価値あるものだが、生徒が手に取れるように館内に並べている。

TEACHER INTERVIEW 社会科教諭/司書教諭 高橋知尚先生 いろんなことを知り、そこから考えを広げることができる場所

知りたいことがあれば知ることができる図書館

― 生徒たちにとって図書館はどういう存在でありたいと思われていますか。

高橋先生
いろんなことを知ることができる、そこからまた考えを広げることができる場所ですね。普段は忙しく時間のない生徒も多いのですが、高3くらいになって図書館にいる時間が長くなると、自然と本棚に目が向いてくるんです。そうやって気づいた時に、彼らの刺激になるような本が図書館にちゃんとあるようにしたいですね。いろんな分野をできるだけ分け隔てなく入れて、知りたいことがあれば知ることができる姿勢は大切にしたいです。

― 国学院久我山は別学ですが図書館は男女一緒です。貸出に男女の違いはありますか。

高橋先生
貸出は圧倒的に女子が多いですね。生徒の人数比率は男子が3で女子が2なのですが、貸出は逆転します。人気はやはり小説ですね。最近では中学生「ぼくら」シリーズが復活して上位に入ってきたりします。中学・高校時代にそれぞれ読むといい100冊[久我山中学:文庫の100冊(日本文学編)・文庫の100冊(外国文学編)/久我山高校:文庫の100冊(日本文学編)・新書の100冊]を用意していて、中学ではその中から読んで「読書ノート」に記録していくこともしています。

2018年度 1学期に生徒がよく借りた本

坊ちゃん 夏目漱石
ナイフ 重松 清
かがみの弧城 辻村深月
ぼくらの南の島戦争 宗田 理
ぼくらの学校戦争 宗田 理
― 中学1年生には「読書の時間」もあるんですね。

高橋先生
「読書の時間」は週1回国語の時間にあります。物語を読むというイメージが強いですが、私としては新書や科学的なもの、評論的なものにも挑戦してほしいと思っています。中2、中3と上がっていく段階では調べ学習が増えてくるので、調べるときは図書館という習慣がついていきますね。中3ではA4判で10ページ以上の論文を書きますから、新書を含めさまざまな本や新聞記事、データベースなどを紹介します。

― 各教科の授業でも活用されていますか。

高橋先生
私も中2の歴史の授業では、歴史上の人物を調べることや歴史にまつわる新聞記事を探すという課題を、年に5回ほど提出させています。国語科では歌人や俳人、家庭科では郷土料理を調べたりもします。

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図書館「知る、考える、学ぶ」を愉しむ場所

― 高橋先生が司書教諭として大切にされていることを教えてください。

高橋先生
私の中では、勉強は教科書だけではないということを大切にしています。図書館では教科書に書いてあることや授業で勉強したことをもっと深く知ることができますし、授業では出てこないようなことも図書館では知ることができます。そういう舞台を用意することが一番のやりがいですね。やはり学びの場所なので、それを愉しんでほしいという思いはあります。わいわいと楽しむのではなく、知る、考える、学ぶことを愉しんでもらえるような場所を作りたいと思います。

― 読書離れとよく言われますが、それは感じることはありますか。

高橋先生
本校の生徒を見ている限りはそこまで離れているとは思わないです。本校では朝の読書もしていますので、日常的に本が身近にあり、読書をすることは多くの生徒に習慣化されていると思います。先日、高1のあるクラスでビブリオバトルをしたのですが、そこで紹介された本を見ると、入学してから3年と半年が過ぎて、それぞれいろいろなものに興味・関心が広がっていることがよく見えて、うれしかったですね。
我々としては他の人がどんな本を読んでいるのか、情報交換ができるような時間や空間を創り出せればいいかなと思っています。本の紹介をさせているのもそのような考えからです。やはり1人で読んでいたら、自分だけの世界になってしまうと思います。

― 世界が広がっていく場所でもあるわけですね。

高橋先生
図書館から紹介している「久我山中・高の100冊」には、とても難しい本がたくさん入っています。中学生で読みこなせない本も多いです。でもあえてやさしい本と難しい本の両方を入れることによって、読書の広がりや深化が起こります。大人になってから夏目漱石はなかなか読みませんが、一度でも読んでおけば、またいつか読むこともあるだろうし、その時は読み方が変わったり新しい発見があったりします。そういう本だからこそ、明治時代や大正時代に書かれた本が今でも読み継がれていて、「久我山中・高の100冊」にも入れていると生徒には話しています。

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背伸びをして1冊読み終える経験が大事

― 中高時代に読書をすることは意味があると思われますか。

高橋先生
どこかで血となり肉になるだろうと思っています。多くの生徒が大学に進み、おもしろくない本も読まされるんです(笑)。それを考えたら今のうちに背伸びをして、わからなくても1冊読み終える。そういう経験が大事かなと思います。だから彼らに合った本も、ちょっと背伸びが必要な本や専門的な本も混ぜて用意しておくことでいい刺激になればいいなと思います。

― 今後、図書館で挑戦してみたいことは?

高橋先生
もう少しデジタルな分野に挑戦していきたいですね。私の担当は社会科なので、読書よりは調べることに軸足のある図書館にしたいというのがもともとあります。複数の科目で調べ学習も多くなってきたので、調べられる手段をもっと増やしたいですね。英語の多読などは電子書籍が向いているので、そういう形も視野に入れています。

― 最後に高橋先生のおすすめの本を教えてください。

高橋先生
中1が入学してきた時に必ず紹介している本は、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』と『モモ』です。両方とも社会のさまざまな側面や人間の内側を見事に表現していて、年代によって読み方や受け取り方が変わる本で、大人になって読んだらまた違う見方ができる本です。「自分にとって一生付き合えるような本を見つけてごらん」ということを、生徒には最初に話すんですね。この2冊を私はこの仕事を始めてから読んだのですが、「自分にとってはこれだよ」と紹介しています。

はてしない物語/モモ ミヒャエル・エンデ [岩波書店]
STUDENT INTERVIEW 新旧幅広いジャンルの本がたくさん 刺激いっぱいの図書館
― Nさんが思うこの図書館の良さを教えてください。

Nさん[高校2年・図書委員長]
本が多いところが一番の魅力だと思います。古いものから新しいものまで幅広いジャンルの本がたくさんあるんです。例えば私は地学部で、虫の研究でもよく利用しますし、宇宙のジャンルでも細かく分野がわかれた本がいろいろあって、とても使いやすいのが魅力です。新書のコーナーもあって、結構勉強になることもおすすめです。あと、「Kugayama Times」というプロジェクトがあって、中学生と高校生が一緒にひとつの英語の新聞を作り上げるのですが、その交流の場になるのが図書館なんです。中学生が読める本も、高校生が読める本も一緒にあるというのもかなりの刺激になっていると思います。

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― 先ほど図書委員としてNさんが書かれた本の紹介のポップを見せてもらいました。

Nさん
あれはちょうど『かがみの孤城』が本屋大賞に選ばれた直後で、1学期に書きました。ポップを書くときは、なるべく有名な本を選んで書くようにしています。有名な本だと印象に残っていることが多いし、そこにポップという情報を追加されると「これ、知ってる。じゃあ読んでみよう」というきっかけにつながるかなと思うので。あとは魅力的な文を書くように努力しています。

― 図書委員長として図書委員や図書館でやっていきたいことはありますか。

Nさん
前々からしていることですが、委員会の有志でビブリオバトルをしたり、いろんな学校の図書委員が参加して本の面白さやいろんな考えを広げたりする取り組みをしたいと思っています。

― 本を読むことの良さはどういうところだと思いますか。

Nさん
本の中にはいろいろな考えがあるので、自分の考えを組み立て直したり、付け加えたり、どんどん確かなものにしていくという感じがあるんです。自分の思考が成長して、視野も広がります。

― 最近は、月に何冊くらい本を読んでいますか。

Nさん
最近は夏休みに13冊くらい読みました。そんなに大した数ではないのですが(笑)。ジャンルは小説が好きですね。皮肉っぽいようでコミカルな本が好きです。一方で梨木香歩さんが書かれるような、ほんわかしていてファンタジックで、じんわり広がるような話も好きです。新書を時々読みます。

― では、おすすめの「ペンギン・ハイウェイ」の魅力を教えてください。

Nさん
映画化もされた本なのですが、まず主人公の視点がとてもおもしろいんです。小学4年生の聡明な男の子で、読んでいる自分も小学生や男の子になったような見方ができます。人間の描写もおもしろいし、都会にペンギンが出るなんてありえないことなのに、ごく自然にファンタジーが組み込まれているところもとても魅力的です。

ペンギン・ハイウェイ 森見 登美彦 [角川書店]

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