【文教大学付属中学校・高等学校】
授業・教育
「文教型キャリア教育」

目に見えていない世界に思いを馳せて考える。進路指導は生き方指導を実践する。文教型キャリア教育。

「進路指導は生き方指導」と考え、進歩し続ける社会を生き抜くことのできる人材を育てることを目指して、独自のキャリア教育を進める文教大学付属中学校・高等学校。中学1年から高校3年までの6年間を、成長期「既知の未知化」、探究期「未知の知識化」、飛躍期「知識の未来化」の3期にわけ、オリジナルのキャリアノート『NEWTON』を活用して、成長段階に合わせたキャリア学習を進めています。
同校のキャリア教育や進路指導についての考え、オリジナルノート『NEWTON』誕生秘話からその必要性について、英語科教諭であり、進路指導部でキャリア教育を担当されている豊嶋正貴先生に話をうかがいました。
文教大学付属中学校・高等学校

『NEWTON』ノート

  • NEWTONノート
  • NEWTONノート
  • NEWTONノート
  • NEWTONノート
  • NEWTONノート
  • NEWTONノート
キャリア教育の充実を図るために作られた、文教大学付属中学校・高等学校オリジナルのノート。2015年度から活用を始め、物事を調べ、探究し、学習したことを記録していくことができる。発達段階に合わせて、各学年の目標に沿った内容を設定。表紙は名前にもなっているニュートンの似顔絵で学年が上がるにつれて年を重ねていき、『NEWTON』の表紙のイラストの中に描かれているニュートンは歳を重ね、手にしているリンゴも徐々に赤く熟していく。
Teacher Interview 物事を人とは違った角度から捉えることができる力を持った人が求められる

これからの未来を予測し、
子どもたちに必要なものを与える進路指導を

― 貴校では、キャリア教育の授業時間をどれくらい設けられていますか。
探究学習発表会
探究学習発表会
豊嶋先生 中学は週2回、高校は週1回で、中学は週2回、「総合的な学習の時間」で、高校は週1回、「総合的な探究の時間」に行っています。「考える」「気づく」「調べる」「行動する」を目的に、最後は「探究学習発表会」を2学年ずつセットにして行います。1つ上の学年の発表を見ることで「自分たちは来年こうやるんだ、こうなるんだ」という波及効果を与えることを目的に下の学年に見せています。
― 進路指導で大切にされていることは何でしょうか。
豊嶋先生 これからどんどんAIが導入され、今ある仕事のうち65%はなくなると言われています。例えば、すでにレジが自動化されて店員がいなくなっている店舗もあります。そんな時代の中で生きがいとやりがいをもって社会のために貢献できる生徒を育てることを大切にしています。
進路指導は別名「生き方指導」とも言われていますが、これからの未来を予測し、子どもたちに必要なものを与えていくこと我々の考える進路指導です。
Society 5.0という言葉がありますが、1.0が狩猟時代、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、4.0が今の情報社会で、5.0は今の子どもたちが生きる超スマート社会と言われています。学校が行うキャリア教育では、今の子どもたちが生きていくであろう未来を予測し、その未来で必要な力を養成することが必要なんです。
― 次の時代を生きていく子どもたちのためのキャリア教育であり、進路指導なんですね。
豊嶋先生 今、大学卒業後3年以内に就職した会社を辞めてしまう大学生は約40%に届こうとしています。我々や国が大切にしなければいけないのは、就いた仕事の中にやりがいや生きがいを見つけることができる子どもを育てること。本校のキャリア教育にある「既知の未知化」とは、目に見えることがすべてではなく、目に見えていない世界に思いを馳せて、ものごとを考えることができることなんです。これができるようになるためには、中学生の内から見えない世界を見る練習を積み重ねていくことが大切です。将来、たとえどんな仕事に就いたとしてもその仕事の中にやりがいと生きがいを見つけることができるということです。
― 6年間のキャリア教育のなかで、まず中学1年生の「既知の未知化」で大事にされていることは?
豊嶋先生 中学1年生では、学びの目的を明確にすることを大切にしています。教科の勉強はテストの点ではなく、自分の未来につながっていることを学んでほしいと思っています。
― 中学1年生で学びの意味や目的を知り、2年生、3年生へと段階を踏んでいくんですね。
鎌倉への遠足
鎌倉への遠足
豊嶋先生 そうですね。中学2年生の「続・既知の未知化」では、日常生活の中にあるちょっとした不思議を見つけていきます。2年生は遠足で鎌倉に行きますが、ただ校外学習に行くだけではなく、目にする景色の中から疑問点を見つけ出し、それを調査します。昨年は「鳩サブレはなぜ鳩なのか」という疑問から調べて発表した生徒がいました。
自分で課題を見つけて調査し、その内容を発信する練習をしていきます。これが学習の“種”になっていくのです。
― そういう力は将来AIが導入されても必要な能力ですね。
豊嶋先生 こういう見方、探究心、調べる力は練習しなければ育ちません。同じものを違う角度から見て捉えられる力が、とても大切で、今後はそういう力を持った人材が求められるようになるんです。
― 中学3年生では「未知の知識化」になります。
豊嶋先生 「未知の知識化」は、知らないものをどんどん自分の知識に変えていこうという段階です。中学3年生では職業と学問との関わりを知って、高校での学業に対する動機を強化していきます。自分が将来なりたい職業と、それに必要な資質や能力は何か、それはどこで学ぶことができるのかという、さらに将来に深くつながることを知識に変えるための取り組みです。
― 高校生になる前に、具体的になっていくんですね。
豊嶋先生 世の中にはさまざまな業種がありますが、高校生が知っている職業は世の中の仕事の15.9%なんだそうです。高校生は、知っている枠の中で進路選択を行っています。知っている職業や学問が広くなればなった分だけ将来の選択肢が広がっていきます。

高校では職業から学問へ
視野を広げた進路選択

― 高校でのキャリア教育はどのような内容になるのでしょうか。
豊嶋先生 高校生は、知っている枠の中で進路選択を行っています。知っている職業や学問が広くなればなった分だけ将来の選択肢が広がっていきます。社会や日常の背景にあるものや自分の適性を知り、職業につながる学問を知っていきます。そのために、大学生に話をしてもらう進路行事や、オープンキャンパス、公開講座だけではなく、自身の進路に関係するボランティア活動にも参加させて視野を広げていきます。そして高校1年生の11月ごろに文理選択をします。
進路が決まればクラスを解体して理工系や、法学系など同じ志望分野の生徒たちでアカデミックグループを編成して、「総合的な探究の時間」の授業につなげています。
ボランティア活動
ボランティア活動
大学体験授業
大学体験授業
― 高校2・3年生は「知識の未来化」?
豊嶋先生 「知識の未来化」では、これまで得てきた知識をこれからの自分の未来に変えていく時期です。特に3年生は自分の進路へ進むだけではなく、自分が選択した学問がどう社会に役立っているのかを考えられるようにしてあげたい。社会貢献を考えた上で進路を選択するというのがすごく大事だと思います。
― 誰かの役に立っていることは仕事への意欲にもつながりますね。『NEWTON』ノートを使ったキャリア教育を実施して4年が経ちましたが、手応えは感じられますか。
豊嶋先生 今までは文教大学への指定校推薦で進学する生徒が多かったのですが、自分のやりたい仕事を見つけて、そのための大学や学部を選択して進学する生徒が増えました。

これからのキャリア教育に
必要なモノは“情報のアップデート”と“先生”

豊嶋先生
― キャリア教育の形を新しく作る中で、大変だったことは何ですか。
豊嶋先生 やはり産みの苦しみですね。先生方にもキャリアプログラムとしてやらせてあげたいことはたくさんあったのですがまとまらず、僕に預けてくださいとお願いして全部作ってしまいました(笑)。
― ノートという具体的な形でわかりやすいと思いますが、これだけ丁寧に作ることが必要だったのでしょうか。
豊嶋先生 まずは6か年の大枠を作って、そこから1学年ずつ落とし込んで作っていきました。タイミングよくリクルートの方が協力してくれることになって、共同で作りました。
― 真っ白なノートに、自由に書いていくだけではダメなんですね。
豊嶋先生 そうですね。『NEWTON』はやることが明確になっていますし、ノートを活用し、実践することで、見えてくることがたくさんあると思います。 また、以前から田植えや稲刈り、鎌倉の校外学習など様々な学校行事を行ってきましたが、文教キャリア教育プログラムによって、行事と行事につながりを持たせ、各学年のキャリア目標に到達できるようにしました。「今日の最新が日々変化する世界の中で常に学び続け、自分に何ができるかを考え行動し、高校卒業して10年たった時に輝いている人材に育ってほしい」というのが最終的な目標です。
― 生徒たちはAIに仕事が奪われるという危機感はあるのでしょうか。
豊嶋先生 頻繁にメディアで取り上げられたり、レジが無人化されたり、身近なところで変化があるのでイメージはあると思います。でも、どんなに時代が流れても人がいなくなるわけではないし、人がいる以上は、その時代のニーズに合わせた仕事が必要になってくるはずです。現在の生徒たちには、今あるものをもっと批判的に見て、自分たちなりの答えにたどり着けるようになってもらいたいですね。
― 今後、このキャリア教育はさらに発展していく可能性がありますね。
豊嶋先生 まだまだ発展途上で、できることはあると思います。高校では総合学習が探究学習に名前が変わりました “探究”になったことで、本校はかなり先進校になったのではないかと思っています。
― これからのキャリア教育に必要なものは何だと思われますか。
豊嶋先生 先生だと思います。今の子どもたちは本当に大変な時代を生きていかなければいけません。変化の激しいこの時代に、私たち教育に携わる者が、その一歩先の未来を予測し、その時代に生きる大人に必要となる資質・能力は何かを考え日々の教育活動を行っていくことが大切だと思います。そのためにも、我々進路指導部が情報を常にアップデートし、学校の先生たちに発信していきたいです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で