【啓明学園中学校・高等学校】
クラブ活動
ブラスバンド部

啓明学園中学校・高等学校 仲の良さと少人数だからこその責任ある音が演奏に直結
中高合同で活動する啓明学園中学校・高等学校ブラスバンド部。最近、部員数は少ないですが、だからこその部員同士の交流やコミュニケーションがあり、その雰囲気の良さから自然と生まれる演奏が強みです。35年以上の歴史を持ち、卒業生には演奏家や作曲家も輩出している啓明学園ブラスバンド部について、その練習の様子や部員・顧問の先生の言葉から魅力を探ります。

PHOTO REPORT

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音楽室にいる数人でも、曲を合わせることはできる。全員が揃う練習は限られるだけに、日々の個人練習が大事で、先輩や後輩の音を聴きながら、真剣に練習に向かう。

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学内のスペースを使ってパートごとに練習。楽器初心者も多く、担当楽器の先輩に1から教わりながら、演奏できる喜びをつかんでいく。顧問の長廻先生も、パートでのアドバイスやグループでの演奏にアドバイス。

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この日9人で演奏してくれたのは、必ずアンコールでは演奏するという「インスタントコンサート」。少人数だからこそ、一人ひとりの意識の高さや演奏力も求められるが、部員たちは音楽に真摯に向き合い、「もっと上手になりたい」「もっと伝えたい」と熱い想いを抱いて部活を楽しんでいることが伝わってきた。

啓明学園ブラスバンド部 Data

部員:18名

練習日:月曜~金曜

発表:文化祭、卒業記念公演、入学式、歓迎の演奏など

定番曲:
「フェスティバルサウンズ」(OBの作曲家、木村裕氏による提供曲)「インスタントコンサート」(新世界、砂のワルツ、ジングルベル、結婚行進曲などが集まった1曲)

STUDENTS COMMENTS

Kくん
部長 高校2年 担当楽器/アルトサックス

仲の良さが、演奏の柔らかい音に

ブラスバンド部の良さは、上下関係がないわけではありませんが、基本的にみんなの仲が良く、練習しているときも、部活が始まる前や終わった後も、みんなでいろいろ話をしたりして雰囲気が良いクラブです。そういう仲の良さが、演奏の柔らかい音にも出ていると感じます。
僕がクラブに所属して楽器を始めたのは中1からです。部長になってから心がけていることは、先輩後輩、同学年でのコミュニケーション。一番気をつけているのは、新入生への声掛けです。楽器の初心者も、楽譜が読めない人も1から教えるので大丈夫ですよ。

Mくん
副部長 高校2年 担当楽器/チューバ

みんなでのんびりと楽しく成長できる

啓明学園のブラスバンド部は、中学生と高校生が一緒に活動するので年齢差は大きいですが、みんなでのんびりと楽しくやりながら成長できるクラブです。大人数だと一人ひとりの音の小ささは気にならないかもしれませんが、うちの部は少人数なので、アンサンブル力や一人ひとりの個性が必要になります。それが少人数の良さであり、その良さを生かした練習をしています。
僕は、チューバを中学1年から始めました。楽器は基礎練習をやらないと下手になるという、自分の勝手な思い込みがあるので、基礎練習用の楽譜を家のパソコンで作って練習しています。副部長としては、部をまとめられるように「わからないことがあったら自分か部長に聞くように」と声掛けをすることを頑張っています。

Kさん
中学3年 担当楽器/フルート

もっとうまく吹けるようになりたい!

フルートは小5の音楽クラブで始め、同時に習い事も始め今も習っています。ブラスバンド部には中学1年から入りました。部の良さは、上下関係はありますが、そこまで厳しくないところです。敬語は使いますが、そこまで堅苦しくはありません。少人数ですが、卒業生が来てくれて、担当がいないパートのサポートをしてくれて助かります。
部活はひとつの曲に集中して練習するので、曲全体を良くしたいと頑張る気持ちもありますが、まずは個人でもっとフルートがうまく吹けるようになりたいと強く思っています。

Sさん
中学2年生 担当楽器/テナーサックス

個性豊かで、見ているだけでも面白い部員たち

中学1年生でブラスバンド部に入って、テナーサックスを始めました。部長が同じサックスなのでいろいろ教えてもらっています。習い事が多いのであまり部活に出られませんが、出られた時には集中してやっています。
ブラスバンド部は、部員が個性豊かで、見ているだけでもすごく面白いです。いつの間にか話が広がっていって、くだらない話で盛り上がることもよくあります。演奏中も目が合うと笑い合う仲の良さで、この雰囲気を聴いてくれる人に届けられたらと思います。
卒業した先輩が来てくれることもあり、先輩もいろいろ教えてくれるので、楽器の初心者でも大丈夫ですよ。面白い先輩もたくさんいます!

Tさん
中学3年 担当楽器/トランペット

部員全員にある責任が、良い演奏につながる

入部は中学1年の春です。部活体験の時に、どの部よりもブラスバンド部の先輩たちが楽しそうで、優しそうな雰囲気が醸し出されていたので入部を決めました。少人数のため演奏では部員全員に音の責任がありますが、それが良い演奏につながっているように感じます。
トランペットは部活で始め、楽器の初心者でも先輩がていねいに教えてくれたことが、この部の良さだと思っています。人が足りないので、文化祭や卒業公演では大学生の先輩が手伝いに来てくれて、アドバイスしてくれるのも魅力です。先輩と接することが多いので、私はこのクラブで敬語の使い方を学びました。とても家族的な雰囲気ですが、そこはきっちり指導されます。
このクラブに入ったことで、外で音楽が流れていると、「あ、この前やった曲だ」とか、「カッコいいな、吹いてみたい」と思うことが増えました。音楽を意識して聴くようになり、趣味に「トランペット」と書けるのもうれしいです。

Nさん
中学部長 中学3年 担当楽器/トランペット

ブラスバンド部は、みんなで一緒に頑張れる部

私は、知り合いだった先輩がブラスバンド部に誘ってくれたので、中学から入部しました。最初はクラリネットなど他の楽器も吹いてみましたが、音が出るのがトランペットしかなく、トランペットは吹いていて楽しかったので選びました。
ただ、私は楽譜も読めない状態で入り、楽器を吹けるようになるのは大変でした。当たり前ですが、先輩よりも演奏が下手で、「みんなはできるのに、自分はどうしてできないんだろう」と思ったこともあります。先輩や先生に相談して、優しく教えてもらえたから頑張れました。
ブラスバンド部は、とにかく雰囲気がいいです。先輩には敬語を使うという決まりもありますが、大人になれば敬語を使う必要があるし、外から見ると堅いと思われるところもありますが、先輩後輩に壁がなく楽しめる部活です。また、一人ひとりの役割が必要不可欠たがらこそ、「私がちゃんと吹けるようにならないとカッコいい演奏にならない」と思えてやる気を持て、練習もできます。ブラスバンド部は、みんなで一緒に頑張れる部だと思います。

TEACHER INTERVIEW

楽譜には、書ききれていないものがたくさんある。
部員たちには音楽表現を伝えたい。

長廻裕実先生
数学科教諭。啓明学園に赴任以来、30年以上ブラスバンド部の顧問を務める。
先生もアマチュアのオーケストラでチェロを演奏。

例えで伝わりやすく
前向きになれる表現で指導
ー 長廻先生は長い間ブラスバンド部を顧問され、いろんな生徒たちを指導されてきたと思いますが、指導で大切にされていることは何でしょうか。

長廻先生 生徒に音のイメージが伝わるように、ものを例えに使っています。ただ「澄んだ音」と言うのではなくて、天気が良かったら「今見える自然の景色のような音」とか、なるべくわかりやすい身近な表現をするようには気をつけています。

ー 例えることで生徒たちの音の共通イメージを持たせるわけですね。

長廻先生 そうです。それと、駄目じゃないかとか、合わないじゃないかとか、否定するような表現は使いません。練習のときも前向きになれるような表現をするように気を付けています。

ー 部員の皆さんは、先輩後輩の線引きはきちんとあるけれども、仲が良いクラブだと言っていました。そういった部の雰囲気も大事にされているのでしょうか。

長廻先生 そうですね。中高一緒に活動していますから、高3の生徒が中1の生徒を見ると、兄弟姉妹よりも年の差があって、優しく教えるという関係ができています。また、それを経験した中学生が高校生になると、「ああ、こういうことを言ってくれていたんだ」と気付き、自分もそれを活かして後輩に教えていくというローテーションができています。

ー 先輩後輩の絆が強そうですね。

長廻先生 先輩は卒業しても1~2年、長ければ10年以上、後輩の面倒を見に来てくれます。夏は毎年、合宿を3泊4日で行うのですが、そこへも先輩が指導に来てくれて、良いローテーションができ上がっていると思っています。

ー 卒業生には、作曲家や演奏家の方もいらっしゃるそうですね。

長廻先生 作曲家になっている木村 裕さんは、啓明学園創立70周年記念に「フェスティバルサウンズ」という曲をブラスバンド部に作ってくれました。それを毎年、入学式に演奏しています。他にもオーストラリアでフルートを演奏している卒業生や、東海大でオーボエを通じてメンタルトレーニングを教えている卒業生もいます。

自分の音の大切さを知り、
お互いの音をよく聴き合う少人数の演奏
ー 長廻先生はチェロを演奏されるそうですが、残念ながらブラスバンド部には弦楽器がありません。生徒たちには同じ演奏する人間としてどんなことを伝えられていますか。

長廻先生 音楽表現ですね。言葉でいうのは難しいですが、音楽とは生き物みたいなもので、常に同じテンポでは面白くも何ともないんですね。楽譜には、書ききれていないものがたくさんあるのです。“ここは急ぐ”とか、“少し前にいって”とか、“ここはたっぷり目に”とか、そういうことが100%書けていない。そこを演奏する私たちが読み取って、弾いて感じて、“ここはもうちょっと前にいきましょう”とか、 “ここでフレーズが終わるので収めましょう”とか、“大事な音はここのこの楽器。だから他の楽器はちょっと押さえましょう”とかを感じ取らなければいけない。言葉で言うのは難しいですが、そういうことを伝えています。

ー 言葉にするのは難しいことでも1年生から積み重ねていくと、生徒たちはどんどん変わっていきますか。

長廻先生 6年間続けていくと、6年前からは信じられないくらいに成長していきますね。

ー ブラスバンド部として部員18人は少ないですが、少人数だからこそ一人ひとりの責任が重くなると生徒の皆さんは言っていました。

長廻先生 それは演奏しているとよくわかると思います。少人数なら少人数なりに別の楽しみ方があるのです。大人数だと迫力があり、みんなの中で吹いているという意識を持てますが、少人数は少人数で、自分の音の大切さを知り、この音がないと駄目なんだと頑張り、お互いの音をよく聴き合います。「ここは先輩と同じことをやっているんだ」「自分がもっとこうやると楽しくなるかな」と、細かく努力するようになりますね。

ー 長廻先生が感じられる啓明学園のブラスバンド部の良さとは?

長廻先生 上手に演奏しようとすると、どうしても厳しくなるのは仕方がないですが、その中でも思いやりをもって、傷つけあわずにやっているなと思います。

ー 音楽の聴き方や意識が変わってきたという声もありましたが、長廻先生はブラスバンド部での活動を通して、どのように成長してほしいですか。

長廻先生 自分中心ではなく、人のことを考えられるようになってほしいです。ブラスバンドで演奏する音楽は人と一緒にやるものなので、相手の様子をうかがい、合わせなければいけません。人のことを考えられないと音楽にならないのです。意見を合わせるだけではだめだし、自分も主張しないといけませんが、音楽はそういうところも勉強できますから、そこを将来に活かしてほしいですね。

ー ブラスバンド部の今後の目標は?

長廻先生 今はピーク時よりも部員数がかなり減っていますが、人数が少なくても充実した音楽を届けていきたとい思っています。充実した音楽とは、楽譜通りに演奏することで満足するのではなく、先ほども申し上げましたが、楽譜に書ききれていない部分を追求し、それを表現して、聞きに来てくださった方々に何かを感じていただく。そのためには音楽の奥深さを知り、表現力を磨き続けることが目標ですね。とはいえ、あんまり堅苦しくなってもいけません。音楽を演奏して、純粋に「楽しい!!」と感じられる。そのことが一番の基本目標ですね。