【明星学園中学校・高等学校】
インターナショナル・ウィーク 自分の殻を破るきっかけが見つかる

インターナショナル・ウィーク 自分の殻を破るきっかけが見つかる 明星学園中学校・高等学校
毎年、明星学園で開催される「インターナショナル・ウィーク」は、タイとドイツの姉妹校から留学生を迎え、中学生や高校生と交流を深める1週間です。校内で留学生たちの異文化に触れ、その違いや共通性を感じながら交流するほか、明星学園で学ぶ長期留学生の話や在校生の留学体験を聞いて多くの刺激を得る「インターナショナルデイ」。単なるイベントだけに終わらせない明星学園の国際交流を取材しました。

International Day Report
- インターナショナル・デイ・レポート -

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3ヵ国の各校らしさを発揮して国際交流

明星学園高等学校の体育館で行われた「インターナショナルデイ」。タイのホアヒンにあるウイタヤライ学園とドイツのメンデルスゾーン・オーバーシューレ高等学校の短期留学生たちと明星学園生が見守るステージのオープニングを飾ったのは、和太鼓部による歓迎演奏。全国大会に出場して活躍する迫力ある勇ましい音が響き、留学生たちも大喜び。
続いてタイ留学生たちによる民族舞踊が披露され、今度は明星生たちが手拍子をして盛り上げる。次に学校で日本語を学んでいるというドイツからの留学生たちがプレゼンテーション。一人ひとりが挨拶だけでなく、日本語で自分たちの学校を紹介した。

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長期外国人留学生や
明星の短期留学生たちによる報告

次に明星学園で学ぶ長期外国人留学生たちが、自身の学校と明星学園との違いを紹介。「遅刻したときは先生に足をたたかれる」「昼食がスナック菓子」「飛び級がある」「部活がない」「土曜は休み」など、各国で全く異なる習慣や様式があることがわかり、明星生たちも楽しそうに聞き入っている。身近な学校生活で比較することで、異なる文化もわかりやすい。
また、明星生による短期留学体験の報告、そして「世界で起きていることを自分のこととしよう」と提言したSDGs(持続可能な開発目標)の発表など、幅広い視点や気づきを持てる時間となった。

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各国の生徒から多様なプレゼンテーション

第2部は、10年生(高1)がタイの留学生と、12年生(高3)がドイツ留学生と交流会。タイの留学生は様々なタイの民族を英語で紹介したり、タイの食べ物などをプレゼンテーション。スナック菓子の試食をさせてもらって、明星生も盛り上がる。ドイツの留学生は、日本語とドイツ語で宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を朗読した。
11年生(高2)は、各教室で長期留学に行った生徒からのプレゼンテーション。明星生同士で質問しやすいだけに、留学だけでなく海外生活や習慣までが身近に感じられ、新しい世界に興味を持ちやすい時間になっていた。「ジャンクフードばかり食べて10キロも太ったよ」「留学前の準備が一番大変!行けば何とかなる」「新しい環境に自分から積極的に飛び込む留学という機会をぜひ生かしてほしい」と、体験者ならではのリアルな言葉に、「自分もチャレンジしてみたい」という小さな勇気が芽生えた生徒もいたのではないだろうか。

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ドイツ留学生との哲学対話でクロストーク

放課後には、自主参加での「ドイツ留学生との哲学対話」が開催された。ゲーム的な内容で交流したあとは、日独混合グループに分かれて、『タバコを吸っている友人を見かけたが秘密にしてと言われた』という状況をクロストーク。先生や別の友達に話すか、話さないか、その理由などを自分の考えを交えつつ、英語で対話する。答えが1つしかないわけではなく、細かな気持ちまで相手に伝えなければならない哲学対話を、英語で留学生と行うことは難しそうだが、生徒たちは片言であっても一生懸命言葉をつないでいく。学内でこうした時間が持てることはとても貴重であり、短期留学生が大勢で来てくれることで、考えること、気づくことも多いはずだ。明星学園ならではの“インターナショナル”にたくさん触れられた1日だった。

Thailand Teacher’s Comment
- タイ・ティーチャーズ・コメント -

タイ・ホアヒン ウイタヤライ学園
テパラット先生

交流によって視野が広がり
世界規模で責任ある市民に

明星学園とは25年ほど交友関係を続けています。当初はプログラムをうまく進めるためのスケジュール管理が難しかったのですが、最近は上手に調整できるようになってきました。タイで明星生を受け入れるにあたっても、どうしたら彼らがリラックスして自分の家だと感じられるような歓迎ができるかのノウハウが身についてきたように思います。明星の関係者や生徒に、タイで会っても日本で会っても、「久しぶり!」とすぐ打ち解けられる関係が築けているのも長く続けているうえでの良さです。
毎年、タイから15~20人ぐらいの生徒を連れて日本に来ます。明星学園では、生徒や先生に優しく迎えてもらい、授業のやり方も少し違うので多くのことを感じるようです。生徒にとっては日本のご家庭にホームステイできることが大きく、同じアジアですが文化がかなり違うので、例えば家族が一緒に食事をして仲良くする方法などを知るようです。
タイに帰ってからは、日本での経験をきっかけに、それまで内気だった生徒が周りに親切にできるようになったり、社交的になったりということがよく見られます。ほかにも日本の家や街中の清潔さや、列を作って並ぶ、時間を守るといったことも学び、タイの友達に「ここにゴミを放置しない」「日本のようにきれいにしよう」と教えます。
こうした交流を通して、世界に関して広い視野を持つこと。他の文化を持つ人に寛大な心を持ち、歓迎する気持ちを持つこと。そして自分の殻に閉じこもって内向きにならず、外に向けてどんどん広げていくことを知ってほしいです。そうやって視野が広がっていけば、タイでも日本でも責任ある市民になっていくことができるし、世界規模で見たときにも責任ある市民となっていろいろな人と触れ合うことができます。最終的には、地球の兄弟姉妹という感覚が持てることを期待しています。

Myojo Teacher’s Interview
- ミョウジョウ・ティーチャーズ・インタビュー -

英語や異文化を学ぶことではなく
ポジティブな勇気を持てるきっかけが大事

間宮先生

高山先生

堀内先生

お互いの違う部分と一緒の部分を発見
それが刺激になる

― 「インターナショナル・ウィーク」とはどのような取り組みですか。

間宮先生 異文化交流や異文化理解のための期間を作りたいといったところから始まり、20年ほど続いています。タイ・ホアヒンのウイタヤライ学園と、ドイツ・ベルリンのメンデルスゾーン・オーバーシューレ高等学校の短期留学生が、明星生のご家庭などにホームステイしながら1週間滞在するうち、2日程度の授業体験、クラブ活動への参加のほか、明星生と一緒にいろいろなことに取り組みながら交流をはかります。

高山先生 そのうち1日は中学生と交流しました。なかでも、急遽空いた時間を使って、ドイツ・タイ・日本の3国が交じり合っておこなった百足競争は楽しかったですね。「ライト、レフト」など片言の英語で助け合い、協力し合うことで、短時間ですが濃い交流ができたように思います。放課後には中学国際交流同好会のメンバーとタイの留学生が、日本のカレー2種類とタイのカレー2種類を作って食べ比べもしました。生徒たちは日本のアニメの話でも盛り上がっていましたね。

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中学校での国際交流の様子

― 全員が参加できる国際交流ならではですね。ほかにも「インターナショナル・ウィーク」の明星学園らしさを感じる点はありますか。

間宮先生 通常は少ないと思われるタイやヨーロッパ圏のドイツの留学生が来てくれて、一緒に何かできる時間があるというのが一番の特長です。タイとドイツも全く違う文化なので、生徒たちはそれだけでも「こんなに違いがあるんだ」と思えます。

― 明星学園からの交換留学もその2校へ行くのですか。

間宮先生 夏休みを利用した短期留学は中高ともタイとオーストラリアで行っています。事前に学習会を開いたり、日本文化のプレゼンの準備をしたりしてから出発します。現地では本当にあたたかく迎えてもらっています。1年間の長期交換留学はタイとドイツの姉妹校2校で、各地域1名ずつです。メンデルスゾーンでは日本語の授業が行われていて、日本に関心の高い生徒が多いんです。日本に来る長期交換留学生も、中学生のころから日本語を2年は勉強して日本に来ます。

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短期や長期の留学

― 高山先生は、明星学園の「インターナショナル・ウィーク」のどこに魅力を感じられますか。

高山先生 私が見ているのは中学生との交流ですが、明星の生徒たちもドイツやタイの留学生も初めはなかなか話しかけられません。でも、少しずつ話をしたり、プレゼンテーションをしたりしていくと、元気なキャラの子がちょっと声をあげるのを皮切りに、一気にみんなで話ができるようになります。その中で、お互いの違う部分と同時に一緒の部分も発見できる。それが刺激になるのかなと思います。

間宮先生 みんな少しずつは英語がわかるので、「もっとちゃんと勉強しよう」とか「話せるようになりたい」と思う生徒はたくさん出てきます。

高山先生 ドイツの生徒たちは、英語がすごく上手な子が多いんです。英語とドイツ語が似ているというのもあるのですが、明星生は「自分の母語ではないのにこんなにしゃべれるのか」と、英語が得意だと思っていた生徒も、英語が得意ではない生徒も、それぞれで刺激を受けるかなと思いますね。
ドイツとの交流会では9年生(中3)の生徒が司会や通訳をやったのですが、そういった活躍する場があることもいいですね。例えば、日本で英語の勉強をしていても「どうしてこんなことをやらなきゃいけないんだ」とか、「こんな過去形とか過去分詞を、なぜやらなければいけないんだ」と思いがちです。でも、そういう場で英語を生かす子を見ると、習った英語がそのまま使えなかったとしても、「自分もああやって聞きたかったな」と思う。少しでもそう思えたら、非常に価値があることです。

明星ではいろいろな人がいるのが当たり前
みんな同じで、みんな違う

― 明星学園にとっての国際交流とはどういうものですか。

堀内先生 他校をみると、例えば高校1年で全員がホームステイに行くことが国際交流の主流になってきたりしていますが、本校はそうではないことに意味があると思うんです。高1全員が海外に行く必要はないし、大学に行ってからでも構わない。タイのように、少人数で行くからこそできるホームステイもあります。
そこで感じてきたことを同級生に伝えたり、身近に留学生が来たりして、それで「自分もやってみたいな、できるんじゃないかな」と思う。それが明星の日常にある自然な雰囲気になっていて、学校の中に閉じこもっていないで外に出ていこうというようなポジティブな勇気を与えている。それが大事なんです。だから英語が苦手でも、卒業したら海外で生活したり、仕事をしたりという卒業生が本校では驚くほどたくさんいます。

高山先生 明星には、いろいろな人がいるのが当たり前という空気があります。みんな同じ。それは裏を返せばみんな違うということ。だからあえて「自分は人と違う」と意識することもないんだと思いますね。
今、日本の若者はどんどん内向きになっているとか、海外に出ないとか、考え方も閉鎖的になっていると社会では言われますが、自分と価値観が違ったり、いろいろな背景を持っているのが当たり前という中で育っていくと、海外に出ていくことも大きなハードルにならないのかなと思います。もちろん海外に留学したら、日本の中で当たり前ではなかったことに触れるかもしれませんが、カルチャーショックという意味では、明星の中ですでにカルチャーが違っているかもしれません(笑)。

― そんな明星から、さらに自分の意志で飛び出していくわけですね。

高山先生 そうです。海外に居心地の良さを感じる人も結構いるんです。やっぱり日本の社会の中での窮屈さはそれなりにあって、明星生には日本の中の窮屈な部分を変えたいと思っている子や、日本から飛び出して別のところに行ってもっと自分らしく生きたいという子もいます。

― 今日も留学体験を生徒たちがプレゼンしていましたが、勇気をもって飛び出すと、変化や成長は大きいですか。

間宮先生 やはり変わりますね。タイの場合、時間の流れがゆったりなので、帰ってくると人間的におおらかになっている気がします。オーストラリアは3週間をホームステイで学校に行って授業に出ますが、1人で頑張るというところが大変なようです。でも、全体的には「楽しかった」が多いですね。ドイツへの短期留学はないのですが、音楽部がメンデルスゾーンへ演奏旅行に行ったときはすごい変化でした。生まれて初めて本物のオペラを観た生徒たち15人の中から、3~4人が声楽に目覚めたんです。それで音大に入りましたから、かなり刺激になったんでしょうね。そういうチャンスやきっかけを与えてあげられたらいいかなという気がします。

自分の国の中にいろいろな異文化がある
日本はひとつじゃないと理解することも大事

― 中学校では、高校の「インターナショナル・ウィーク」というような設定はないとのことですが、「国際交流」としてどのような取り組みをされているのでしょうか。

堀内先生 昨日は「国際交流の日」と名付けて、ドイツやタイの留学生と一日交流しました。ほかには、特別授業としていろいろな分野で活躍するおとなに来てもらう機会をつくっています。それは英語を学ぶというよりも、自分たちの世界とは違う世界のことを知る、その豊かさ多様さに出会わせて刺激を与える場です。その中での国際的な問題やテーマは、生徒にとってやはり刺激になりますね。希望者がいた時は他校の生徒と一緒に英語で質疑応答するセミナーに参加し、自分の英語力を試す機会もあります。

高山先生 英語の難しいレクチャーを聞く機会です。

堀内先生 去年も中3生を連れていったのですが、会場の前方に行けず、周りは高校生ばかりで質問しづらい状況の中、勇気を出して一人の生徒が英語で質問しました。それで今年は早めに行って最前列を陣取りました(笑)。そうしたら終わってから、本校の生徒が英字新聞から取材をされて記事が掲載されたんです。生徒たちはそういうことで自信をつけていきます。全員がそのレベルではないですが、そういう生徒が同じ学年やクラスにいることがすごく刺激になると思います。

高山先生 高校ほどではないですが、いろんなバックグラウンドを持った子が学年に何人もいますから、中学での毎日はいろいろな考えや価値観があって当たり前です。

堀内先生 グローバル社会であるから海外の異文化を知ろうとよく言われますが、一方で自分の国の中にいろいろな異文化があるんだ、日本はひとつじゃないんだと理解することも大事です。日本にもいろいろな人がいるということを知るために、9年(中3)の修学旅行では必ず民家泊を行っています。伊平屋島では沖縄の琉球文化やそこで生活する人と深く出会うために3~4人で知らない家に泊まり、3日間その家の子になる。それも、ある意味では異文化交流ですよね。
中2では有志で、新潟県の奥阿賀という山村で民家泊をします。一緒に農作業をして料理をするという経験も、日常の殻を破って出ていこうという勇気につながります。それが海外に行くなら国際交流になる。それらは実はつながっているんです。

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中学での民家泊

高山先生 1回の海外とか、1つの経験がどうということではないのかもしれませんね。

堀内先生 だから、英語圏がすべてではないんです。学校で習うのは英語だけれど、英語を学ぶために国を選んだり、国際交流をするのではなく、言葉は苦手だけれど新しいところに行ってみようという勇気を持てるきっかけが大事です。明星にはそのきっかけが、小学校にも中学校にもあると思いますし、そこが他校との違いかなと思います。

― 新しい世界に一歩出てみたら世界が広がり、また次やろうという勇気が出ます。明星学園にとっては、国際交流もそのきっかけの1つですね。

堀内先生 その子なりの挑戦でいいんです。それが、この学年で絶対に1カ月間ホームステイに行かなければいけないとか、全員が英検2級を取れなくてはいけないとなってくると、できる子はいいけれど、そこでやっぱり傷つく子だっています。互いに刺激を受けながら、その子はその子なりに殻を破っていけばいいのであって、そういう柔らかさを大切にしていきたいと思います。

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