明治大学付属明治高等学校・明治中学校
人をつなぐ
学校キャンパスを探検
明治大学唯一の直系付属校であり、2008年に明治大学に近い千代田区猿楽町から調布に移転した明治大学付属明治高等学校・明治中学校。都内髄一と評される圧倒的な敷地と充実した施設を誇るキャンパスは、「3つのS」として教育環境に必要な「STUDY」「SPACE」「SPORTS」を柱に、生徒を豊かに育む環境作りが徹底されています。
今回は、「3つのS」の注目ポイントを巡りながら、環境や施設に対する学校の思い、先生だからこそ知る細かなエピソードを、広報主任の齊藤信弘先生に取材しました。
HR教室
教卓から後方席までの距離が近い横長型のHR教室。
明るく温かみのある空間で、落ち着いた気持ちで勉強に集中できる。
図書館
蔵書約6万冊の“内容”が自慢の図書館。毎週新刊が100冊入荷され、生徒が今読みたい話題本が揃うほか、大学の学部選択につながる法律・政治・経済関連書は手厚い。図書班は、「どくしょ甲子園」で最優秀賞を受賞している。
特別教室
大小合わせて特別教室は9室。分割授業や映像を利用する授業、プレゼンテーション授業など多目的に活用されている。
広報主任 社会科教諭 齊藤信弘先生
生徒との距離を大切にした[STUDY]環境
HR教室は、生徒と教員の距離が近い横長タイプになっています。移転後から少人数クラスになりましたが、どの学年もクラスも仲が良いですね。机を教室の横1列に並べた仲が良すぎるクラスもありました。最近は少人数のご家庭で育つ生徒が多く、一人ひとりに目をかけて育てていくことが大事だと感じます。 僕はHR教室で生徒と一緒に掃除をしています。掃除は、生徒との良いコミュニケーションになるんです。黒板だけはダメ出しをするので生徒があきれてしまい、自分で掃除しています。いろいろな便利な教材がありますが、黒板とチョークを使っていかに教えるかが大切だと思っていますから、その意味で黒板は教師の聖域なんです(笑)。 図書館は、本校の知識の拠点です。調べ学習が多く、学校行事に「イングリッシュプレゼンテーション」や「スピーチコンテスト」もあり、自分たちで原稿を作ってスピーチします。そのときにどのように調べるか、どう知識をまとめて活用していくかは、図書館の指導が大きいですね。図書館も密に生徒と関わっています。他にも、英語の多読本が約5800冊あり、積極的に活用しています。これは英語科教員が1冊ずつ読んで独自のレベル分けをしたものです。英語学習者向けに作られた本ではなく、海外で日常に英語を使っている小学生や中学生が実際に読んでいる本を本校生徒にも読んでほしいという、教員や図書館としての思いが詰まっています。
ゆとりスペース
廊下は、最大幅6メートル、狭い廊下でも4メートルある。幅6メートルは、車が縦に駐車できる長さ。学年ごとに同フロアに教室が並び、クラス交流だけでなく学年交流も盛んな学校生活を支えている。
食堂
高い天井と300席あるゆとりある配置が魅力の食堂。
エントランスホール
手前の階段から講堂(鵜澤総明ホール)前のホワイエまでは、約80メートル。反対側の教室前を含めると約200メートルになる。雨の日はランニングや練習に利用する部活が増える。
講堂[鵜澤総明ホール]
座席数1450席の講堂は、約1200人の全校生徒の収容が可能。地下1階から2階までの高さがある。音響や照明にもこだわり、講演会や演奏会も頻繁に行われる。
広報主任 社会科教諭 齊藤信弘先生
生徒の交流を豊かにする[SPACE]環境
本校には至る所にかなりのゆとり空間があります。人が行き来するだけなら6メートル幅の廊下や吹き抜けのエントランスなど不要かもしれませんが、この空間が生徒の交流を豊かにしていきますから、これこそが学校の財産だと僕は思っています。特に人間関係が出来上がっていくのが職員室前の丸テーブルや廊下のベンチ。教室ではできない交流がそういうゆとり空間でできていくことこそが強みです。 講堂[鵜澤総明ホール]は、卒業生や講師を招いての講演会も多いことから、全校生徒が入れる大きさにこだわって作りました。本校は全校生徒の集会も多く、それが生徒にとっては印象深いようです。生徒主導の集会もあり、先輩の姿に後輩は憧れますから、先輩後輩関係もかなり強いですね。日頃からの関係性や校内でのコミュニケーションの場が多いことは、マンモス校にはない魅力になっていると思います。
グラウンド
囲に遮るものがない開放感いっぱいの全面人工芝のグラウンド。フルピッチのサッカーコートが1面、軟式野球場が2面とれる大きさで、90×110メートルを誇る。100メートル走レーンや250メートルトラックも完備。
第1体育館
地下1階から地上3階までの天井高12.5メートルの第1体育館。バレーボールの公式戦が可能な高さと、バスケットボールのコートが2面取れる広さになっている。2階にはランニングトラックがあり、部活動でも利用される。天井高7.5メートルの第2体育館もある。
トレーニングルーム
高校生の男子に人気のトレーニングルーム。重い器械があるので、使用は管理され監督者がいるときのみ利用可能。スポーツ施設にありがちな汗臭さも全面空調で解消されている。
柔道場・剣道場
第2体育館の地下が柔道場と剣道場になっている。分かれてあるのは珍しい。柔道場は畳、剣道場は弾性のある床になっている。
広報主任 社会科教諭 齊藤信弘先生
生徒の可能性を伸ばす[SPORTS]環境
移転以前の校舎では、グラウンドがテニスコート2面分程度しかなく狭かったので、人工芝のグラウンド、2つの体育館、トレーニングルーム、柔道場、剣道場と、夢に描いていたものが形になりました。 体育館もグラウンドも、学校の施設としては自慢できる大きさですね。しかし部活は運動部が16あるので、グラウンドと体育館だけでも場所の取り合いになっています。時折、外部から貸してくれないかと連絡が来ますが、この大きさでも空いているところはない状態です。新しいクラブは廊下など、自分たちを活かせる場所を探しながら使っています。 大きさで嬉しくも大変な場所は第一体育館です。12.5メートルの高さがありますが、天井のフレームに何かが引っかかると取れないことが難点です。明治は応援団が有名で、紫紺の紙テープが飛ぶのが応援のフィナーレの名物です。紙テープが天井に引っかかることを考えると禁止したいくらいなのですが、伝統ですからやめられません(笑)。
本校は、2008年にこの調布へ移転すると同時に共学になりました。以前は明治大学に近い御茶ノ水にあった男子校で、校舎は小さかったのですが、勉強をするにはとても恵まれた環境だったんです。自然豊かなこの場所に移ることになって、その学習環境や100年の伝統を受け継ぐにはどうすればよいかを試行錯誤しました。
結果的には教員が「こんな環境で生徒を6年間育てたいんだ!」という思いを、形にさせてもらいました。生徒からは「こんなことをしたい!」「これもやりたい!」という思いが出てくる環境であり、保護者の多くが望まれる「伸びやかに育てたい」という思いも可能にする環境だと思います。
本校キャンパスの肝は、絶妙に配置されたフリースペースです。教育とは、やはり人と人とのつながり。特に中学生は先生とのコミュニケーションの影響が大きく、普段に触れ合える自由な空間があることが、この学校の教育力を支えている気がしています。当初から大事だと思って作ったフリースペースですが、ここまで良さを実感するようになるとは思わなかったですね。そういう場所はこれからもどんどん生まれそうな気がしています。
環境は明治の魅力の一つですが、本校で一番見てもらいたいのはこの学校の中で主体性を持って一生懸命になっている生徒たちです。明治大学の付属の直系校は本校だけですが、そのせいか明治愛の強さには驚かされます。校歌はそのまま明治大学の校歌で、その校歌をここぞというときに肩を組んで中高生が歌うんです。それが伝統なんですね。そうしたこの母校を愛する精神は、生徒がいろんな施設や設備を自分たちで清掃して大切にしているところにもつながります。この学校を自分たちで作っていくんだという高い意識が、学校や伝統を今後も育てていくと思っています。